• 総合ディレクター

    Choji Nakahodo

    PROFILE

    1959年石垣島生まれ。20代の頃より沖縄県内であらゆる分野のデザインを手がける。2017年より「やんばるアートフェスティバル」の総合ディレクターを務め、アーティスとしての活動を本格的にスタート。琉球・沖縄のアルカイックな陰翳美と色彩感覚をテーマに、写真、デザイン、映像、カリグラフなど、ジャンルにこだわらない自由な表現活動を行っている。主な作品は「すでる 〜原琉球のメタモルフォーゼ〜」(やんばるアートフェスティバル2018-2019)、「スデル・うまれかわる」(京都国際映画祭2019アート部門)、島猫映画「 Nyaha!」(2018年)など。現在、西表島の自然と暮らしをテーマにしたドキュメンタリー映画を制作中(2021年公開予定)。

    2017 年から3度に渡り開催してきた「やんばるアートフェスティバル」は
    風光明媚な旧大宜味村立塩屋小学校をメイン会場とし、
    1年目は、やんばるにアートを運び(ヤンバルニハコブネ)
    2年目は、やんばるにおける芸術革命を呼びかけ(ヤンバルネサンス)
    3年目は、やんばるの豊かさを讃え、アートによる鎮守の杜(山原黄金之杜)を象づくってきた。

    一貫して大切にしてきたことは、やんばるという土地に息づく原初のパワーであり、
    循環をキーワードとする人と自然との営みや、地域との関係性から生まれる
    「今、ここでしか成し得ないアートを創造する」という姿勢だ。

    4年目を迎える今年は、人類にとっても大きな転換の節目となったが、
    本フェスティバルにおいても「古きを訪ね、新しきを知る」機会としたい。

    過去に育てた種をどこに植え、蒔いた種をどのように育てていくのか?
    リアルに手渡し、丁寧に手植えしていくことはもちろんだが、
    デジタル、バーチャル、リモートの時代だからこそ、
    離れた場所にいながらにして共時性を感じるような 新時代のアート知新を試みたいと思う。

  • アートディレクター

    Mitsuo Shindo

    PROFILE

    1948年東京生まれ。アートディレクター、映像ディレクター、フォトグラファー。デザイン事務所、広告制作会社等を経て、1977年に独立。
    80年代半ば、コンテムポラリー・プロダクションを設立(〜2011年)。
    松任谷由実、ピチカート・ファイヴ、Mr.Children、MISIAなど、日本の音楽シーンをリードする数多くのミュージシャンの
    CDジャケットを制作し、その数は1000枚を超える。
    ミュージックビデオや企業CMのディレクションも手がけ、書道家としての一面も持つ。

    メインビジュアルについて

    沖縄の色と言えば赤だと感じるのですが、それは昔、中国との交易が盛んであった沖縄が
    中国文化の影響を大きく受けていたからだと思えるのです。

    構造物も朱色が多く使われ、首里城はまさにそのシンボリックな存在でした。
    (実際は魔除けの意味もあり赤く塗られていたそうです)

    今、その首里城も再建されようとしていますが、沖縄の心ともいえる朱色の首里城再建は
    これからの「やんばるアートフェスティバル」の発展ともつながっていくような気がします。

    今回のメインビジュアルは、琉球古典音楽演奏家の親川遥を中央に配し、
    赤い番傘の持つ季節感とグラフィカルなアクセントをねらったものです。

  • エキシビション部門ディレクター

    Takahiro Kaneshima

    PROFILE

    ACKプログラムディレクター、京都芸術大学客員教授
    1977年東京生まれ、京都在住。2002年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了後、ノキア社、株式会社東芝、東京画廊+ BTAP、ART iTなどを経て、2007年に FECを設立。展覧会企画、交流事業のコーディネーション、アーティストの制作支援、東アジアの現代美術の調査研究などを手がける。2011年よりアートフェア東京エグゼクティブディレクター、2016年よりアート北京アートディレクターを経て、現在は京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程に在籍しながら、2021年より国立京都国際会館で開催される新しい形のアートフェアACK (Art Collaboration Kyoto)のプログラムディレクターを務める。

    2017年からスタートした「やんばるアートフェスティバル」は今年で4回目を迎えます。コロナ禍ではありますが、様々な工夫や対策をとりながら開催される今回は、これまでの3回を振り返りながら、これからを志向していくプログラムを組みます。

    初回から手探りではありましたが、やんばるを拠点に、沖縄県内での広がりから日本は北海道まで、そして周辺のアジア地域やヨーロッパからも、様々なアーティストにご参加いただきました。そしてアーティストには、やんばるの土地柄を活かしながら、作品の制作や展示、そしてプログラムの実践などをいただき、地元との交流も深まってきました。そして昨年度は、間近に迫るコロナの脅威を感じながらも、やんばるには穏やかな時間が流れていました。

    その後、コロナの渦に呑み込まれながら、あっという間に開催を迎えることとなった今回。このような状況でも、やんばるという土地で、アートができることは一体何か。そのように思いを巡らせていた中で、今回の「やんばるアートフェスティバル」を、今までやんばるにお越しいただいたアーティストと共に考えていく場として捉えてみることにしました。

    コロナ禍で変化を強いられる現代アートを取り巻く環境において、これからどのようなプロジェクトや新しい動きが生まれてくるか。今までのプロジェクトや過去の作品、新作、そしてオンライン、デジタルと、様々な要素や可能性を組み合わせながらプログラムが展開される実験の場としての今年の「やんばるアートフェスティバル」にご期待ください。

  • クラフト部門キュレーター


    Tetsuya Mugishima・Miki Mugishima

    PROFILE

    浦添市港川の外人住宅街にある「PORTRIVER MARKET(ポートリバー マーケット)」は、麦島ご夫妻が2013年から営んでいるセレクトショップ。ポートリバーとは、地名の港川をもじった造語。沖縄各地から集めてきたクラフトのほか、アクセサリーや食品などのオリジナル商品も数多く取り揃う。

    やんばるアートフェスティバルの会期中、メイン会場である大宜味村旧塩屋小学校(大宜味ユーティリティセンター)の一角に、期間限定のクラフトショップ「YAF CRAFT MARKET」が今年もオープンします。

    4年目となった今回は、より一層「やんばる」らしさにこだわって、やちむん(陶器)、染織、木工など、やんばるで活動されている工房・作家さんの作品をこれまでで最も多く集めました。

    また、今年はテーマを「植物のある暮らし」とし、琉球ガラスや錫の花器、ボタニカル柄のやちむんなど、本フェスティバルでしか出会えないアートな作品や、新たに立ち上がるオリジナルブランド「article」など、はじめて沖縄のクラフトに触れる方はもちろん、お目当ての作家さんがいらっしゃる方にとっても発見や気づきのあるラインナップになるよう心がけました。

    さらに、コロナ禍下での開催であることを踏まえて、会場まで足を運べない方にもクラフトショッピングをお楽しみいただけるようネットストアにも力を入れました。

    やんばる、そして沖縄本島全域からこれほど多様なクラフトが一同に介する機会はなかなかありません。伝統と革新が息づく沖縄の手仕事に触れ、日々の暮らしに取り入れていただけたら嬉しいです。