エキシビション部門

アーティスト名

Mrs. Yuki

Mrs. Yuki

ほしの下のいとなみ

今回の展示は、旧塩屋小学校の理科室を暗室にして虫の標本を素材に展開する。テーブルに設置された昆虫の作品は、同性愛行為の体制で留められている。
繁殖行動と無関係のように思われる行為は、交尾の練習や劣化した精子の更新作業にも捉えることができる。このことを手掛かりに制作した今回の作品は、生命同士の精神的な強い繋がりを表現している。
鑑賞者は、暗闇の中照らし出されたテーブルの光を頼りに作品を鑑賞する。それは森の中で、新たな生命との出会いを求める昆虫採集の感覚と似ている。
1983年9月とあるダム構内で新種の甲虫が発見された。発見当初から絶滅の危機に晒され、翌年には県の天然記念物になり、1985年には国の天然記念物に指定された。この甲虫こそ日本最大の甲虫『ヤンバルテナガコガネ』である。
沖縄島北部の固有種であるヤンバルテナガコガネは、6月から8月にかけて出現する一般的な甲虫と異なり、秋口の9月10月に成虫が出現する。ヤンバルテナガコガネは、よく知られている甲虫と異なる性質があったため発見が遅れたという。
人間は、言葉や文字などで自然を区切り、自然を理解しようとした。しかし、自然と人間とは常に継ぎ目なくこの世界の中にある。
私達二人は、区分と現実の在り方を生命から学び美術を通して表現する。

展示会場

大宜味村立旧塩屋小学校

Mrs. Yuki

PROFILE

Mrs. Yukiは、自然界の遺伝交配に関心をいだいた平嶺林太郎と、爬虫類や昆虫がもつ形状や色彩に惹かれる大久保具視で2009年に結成されたアートユニット。
生物学的な観点から造形の実践を試み、生命の固有性と多様性を探求しながら制作活動を展開している。自然界が生みだす生命のエネルギーを作品に取り入れ、生命そのものの価値を美術の体系のうちに位置付ける試みを行なう。

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